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Report from Iron Mountain - On the Possibility & Desirability of Peace

ノンフィクション


最近読んだ山形浩生の本に「解説」が紹介されていて、なかなか面白そうな内容なのでフリーで公開されているものを印刷して読んでみた。

政府寄りのシンクタンク系な資料を偽装して書かれた文章なので、とにかく読みにくい。山形浩生の訳だから、とかそういう事ではなくて、単純に何を書いているのかはぐらかしてしまおうとするような嫌らしい文章なのだ。

ただ、内容はウィットの効いた物事(ここでは“戦争”)の核心を突いていて、「ただの偽装・政府文章」としては片づけることのできない論理展開を含んでいる。

まず、この文章では「一般的な平和が達成可能か」という謎かけに対してそれなりに納得のできる答を見いだすことに主眼が置かれている。その結果示されている答を単刀直入に言うと「NO」なのだけど、この文章が執筆された1960年代だけに限らず、70年代でも80年代でも、現在において十分に納得できてしまうくらいにリーズナブルな議論が展開されているのだ。

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少し後付けの感もあるけれど、僕がエンターテイメントの世界で働こう、と思ったのは、「近代文明って十分発達しちゃったから、これ以上余剰所得を増やすよりも、食い扶持に困ってない人を全てをエンターテイメントシステムの中に取り込んでしまえばええじゃないか」と大学生の頃に思ったことが一番大きな理由だったりする。

その意味でもこの文章の中で触れられている「戦争に代わる経済的・社会的代替システム」の実現は本当に難しくって、いかに人がスチャラカに楽しく、そして気持ちよく生きていけるかを改めて考えさせてくれるよいきっかけになった。