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氷の回廊―ヒマラヤの星降る村の物語 - 庄司 康治

旅行記・写真


ヒマラヤの奥地、ザンスカール地方で冬の間に凍結した川を使って村と街との間を行き来する旅人の姿を綴った写真集。

どの写真もとてもとても印象的で、今年中に是非行きたいな~と思っている場所の周辺なので、とても満ち足りた読書体験になった。
もともとNHKのドキュメンタリーとして作られたものらしいのだけど、想像を絶する厳しい環境の中で、不便を感じながらも先祖達から脈々と受け継いできた生活を続けている人たちの姿は強く心を打つ。

希望、というか、夢、というか、やはり人間にとって「完全に満ち足りた状態」なんてものは存在しないのだなぁ、と改めて思う。
置かれた状況に応じて都合よく「あぁだったらいいな」とか「こうだったらいいな」とか考えて、それに向かって人の意識は向かうようにできている。そもそも人間の思考回路なんてのはそのために「現状改善のためのフィードバックシステム」として生まれたわけだから、当然といえば当然なのだろう。
それが自然科学的な探究心に結びつくのかもしれないし、沢山の人の命を奪う戦争に結びつくのかもしれないし、それは本当に人間次第なのだ。