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芸十夜 - 板東三津五郎・武智鉄二

演劇


どこだったか、歌舞伎に関してかなり切れ味鋭い評価を載せているウェブサイトで紹介されていたので入手した本。

某・歌舞伎の大先生に「小学生が大学院生の本を読むようなもの」という言葉をいただくほどに中身の濃い本なのだけど、基本的には対談録なのでよく分からなくても読み進められるのが幸い。
日本の伝統芸に体当たりしてきた人たちなので、そこかしこに芸術の本質を語った言葉が散りばめられていている。

対談を通して語られていることの7%も理解できるか分からないのだけれど、少なくとも日本人の芸術がどういったものであるかがほんのすこしだけ分かったような気がした。
陳腐でありきたり表現かも知れないけれど、「芸なんてよくわからないから、とにかく体当たりしてそれを何年もかけて、何回も代を重ねていくことによって洗練されていく」のが日本の芸なのだな、と思った。

とにかくアナログな知恵の宝庫のようなものが「芸」なのだな、というのがこの本を読んでの僕の感想だ。