« 16歳のセアラが挑んだ世界最強の暗号 - セアラ・フラナリー | メイン | 自由は進化する - ダニエル・C・デネット »

ソロ - 単独登攀者 山野井泰史 - 丸山直樹

山登り


ちょっと饒舌すぎる感があるけれど、山野井泰史さんの98年までの足取りがよくまとまっている。

子供の頃から「山に登って生きる」ことを実践してきた山野井さんは、あくまでシンプルにその生き方を続けている。
彼の山に対する(特にソロに対しての)こだわりを解き明かそうとすることに多くの言葉がつづられているのだけれど、色々語った割にうなずける意見がなかったのが残念。

アルパインクライミングとエクストリームクライミング(極地法)の違いや、厳しい環境でのクライミングがいかに大変なものかが少しずつ分かってきた気がする。
日本では「海外登山に遠征」なんていうと未だに大げさなキャンプを張った「遠征」を想像しがちだけれど、世界の先鋭なクライマー達の関心はもはやそこにはないのだなぁ、と思った。

それにしても、ソロでクライミングするのは信じられないほどの恐怖に違いない。その恐怖との闘いは「自分との闘い」であると同時に「自分の立場との闘い」もある。
前者は何をやっても超えねばならないものだけれど、後者はシンプルに人生を生きることでミニマムに絞ることができる。
だから、ソロという形はその人しだいでいくらでもその意味付けが異なってくるものだろう。