ただマイヨ・ジョーヌのためでなく - ランス・アームストロング
素晴らしい本。
膀胱癌から奇跡としか言いようのないカムバックを遂げたツール・ド・フランスのチャンピオン、ランス・アームストロングによる自伝。
原題"It's Not About the Bike"の通り、物語の焦点は自転車でなく彼の人生全体、もしくは「生きる」という行為に絞られている。
いかにもアメリカ的な家庭環境と、その中で逞しく育ち、苦悩し、成長し、死にかけ、復活してきた人間がありのままに描かれているのだ。
自転車でも物理学でも、優れた人間には大抵一つの共通点がある。それは「やり抜くこと」だ。
脇目もふらずに一生懸命生きるには、それだけその何かにコミットしている必要があるのだと思う。いつも斜めに構えてしまう僕にとって、非常に刺激のある読書体験になった。