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影の現象学 - 河合隼雄

心理学・精神分析


よい本。
ボリュームも内容も豊かで、急いで読むには惜しかったのでゆっくとり読んだ。

2,3年前からずぅ~~っと考え続けていた「人はみな、それぞれの地獄を抱えている」というテーゼの「地獄」こそは河合隼雄の言う「影」でありのだな、と感じた。

人がみな抱えている「影」に関する考察を前面に押し出しつつも、それに関連する興味深い事柄が沢山出てくる。
永遠の少年の限界に対する話もとても興味深かったし、道化から老王への変化の話、そして何よりも影の恐ろしさとその必然性のジレンマ・・・。
河合隼雄さんの本は他に沢山読んだけれど、色んなものがごった煮にされていてこれだけの完成度を誇っている本は他にない気がする。そういう意味で、この本は名著と呼ぶに値する本なのだろう。

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この本に出てきて気になったものについてメモ:

ホフマン「大晦日の夜の冒険」
エリ・ヴィーゼル「夜」
マーク・トウェイン「不思議な少年」