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2005年06月27日

愛蔵版・モモ - ミヒャエル・エンデ


最高。

モモの映画版(だったかな?)はその昔見たことがあって、時間が止まってしまうシーンと、モモと時間泥棒達の追いかけっこのシーンだけしか覚えてなかった。
それだけに読み進めていく中でこんなに深い話だったとは・・・、と驚かされることばかり。

愛蔵版・モモは随分前からamazon.co.jpのショッピングカートの待ちリストに入っていたのだけれど、前回の注文時に買っておいてよかった。

我ながら驚くほどジャスト・タイム。
・・・というのも最近自分の中で、「モモ」の物語の中でも扱われている問題について考えを巡らせていたから。
「時代の寒さ」にどうやって風穴をあけようものか悩んでいたから。

どうすればよいかはまだ分からないけれど、全く同じような問題を考えてくれていた偉大なる先人がいた、ということだけでも嬉しく感じる。

愛蔵版はパッケージがとっても素敵で、読んでる最中汚さないようにするのに気をつかった。
好きな人に読んでもらいたくなるような、そんな本だ。

2005年06月17日

ピーター・パン - J.M.バリ


岩波少年文庫版のピーター・パン。

うちの家族で幾度となくディズニーのアニメ作品を見ていたのだけど、Finding Neverland を見て初めてそのルーツを知って驚いて小説を読んでみようと思い立ったのだった。

予想に反せず、子供向けの小説ながら大人に向けたメッセージのようなものが含まれていて、とても好印象。ちょこちょこと大人の不毛さを馬鹿にしたような表現が出てくるのは、バリ自身もピーター・パン症候群の患者だったからなのだろう、と思う。
飛ぶ、というモチーフに関してはサン・テグジュペリと共通するものがあるし、やはり人が憧れるもののベースになるのは子供らしい遊び心だったり好奇心があるのだろう。

フックがエートン校出身、という設定がなんとも意外で面白かった。

人はなんで生きるか - トルストイ


トルストイが晩年に執筆した、民話をベースとした短編5つを含んだ本。

宗教的道徳心に燃えた作者が書いた物語なのだけれど、単純な物語なのにも関わらずとても強く訴えかけてくる何かがある。
なんといっても本の題にもなっている「人はなんで生きるか」がこの短編集の代表格で、一番宗教的な内容。
その他の作品も素晴らしい。

2005年06月16日

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 - ゲーテ


2週間かけて中、下と読破。

はじめは家業の手伝いの狭間で恋をしたり、失恋して芸術を求める旅に出るヴィルヘルムは沢山の不思議な人に出会い、沢山の素晴らしい体験をする。

こころが開いているときだけ
この世は美しい。

ただ憧れを知る者のみ わが悲しみを知る

こんな言葉を紡いでしまうゲーテはやはり天才だと思う。
ただ純粋に生きようと願うヴィルヘルムの姿がとても印象的。

2005年06月04日

中世騎士物語 - ブルフィンチ


アーサー王や彼に関係した騎士たちの物語、それにウェールズの騎士物語であるマビノジョン、そして中世の騎士物語へと繋がるイギリスの歴史の概略がうまくまとめられた本。

アーサー王の話と彼の伝説、それに聖杯探求・・・、前半部分だけを読んで満ち足りた気分になったあとにマビノジョンに手を出したのだけど、途中まで読んで時間切れで図書館に返却。

それにしてもこの騎士たちの行動のワンパタぶりったらない。
一人一人が同じような目的のために一生懸命生きて、戦って、死んでいく姿はなんとも興味深い。

なかなかよい本なので手元においておこうかと思った。

2005年06月03日

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉 - ゲーテ


素晴らしい本。

なんでこれまで読まなかったんだろう・・・、というのはあまりにお決まりの言葉だけどほんとそんな感じ。

言い訳すると日本の文庫本って格式があって「岩波文庫=むつかしい」みたいに勘違いされてる感がある。
実際に読めば分かるけど、岩波文庫がそろえているのは古今東西「よい本」とされている本を選んでいく中で柔らかすぎる本がフィルターされているせいでこういうイメージが定着してしまっている気がする。
岩波文庫に柔らかくて面白い本を出せ!という気はないけど、もう少しフレンドリーな雰囲気を醸し出してみてもよいんじゃないだろうか?

少なくともこの本に関していえば知識のない高校生でもどっぷり浸かって楽しんで、さらにほかの事に関する興味を抱かせるだけの魅力はあると思う。
早く続きを読まねば・・・。