阿Q正伝・狂人日記 - 魯迅
小説・詩集
魯迅の代表作が収められた本。
図書館でなんとなく借りてみましたシリーズその4。
なんとなく借りてみましたというのは正確ではなくて、前々から読もう読もうと思ってて、まだ借りる余裕があったから借りてみたというほうが正しい。
いずれにせよ中国社会の病根を辛辣に表現していた作品ばかりで、まさにシュールここに極まれり、という感じ。
冒頭の自序に魯迅の子供の頃の苦々しい記憶が書かれているのだけど、まさに中国、という感じでぐいぐいと引き込まれた。
阿Q正伝も狂人日記も、社会の底辺のさらにその下、つまり一般的な社会からほとんど相手にされないアウトサイダーの視点から対峙している社会の問題点を追求している。
とても気に入ったのは、「故郷」の最後の部分。
“まどろみかけた私の眼に、海辺の広い緑の砂地がうかんでくる。その上の紺碧の空には、金色の丸い月がかかっている。思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ”