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民族という名の宗教 - なだいなだ

エッセイ・対談


いつもどおり、分かりやすいなだいなださんの書き方で、昔の教え子と会話していく中で民族や国家というフィクションについての意見が述べられている。

とにかく分かりやすいのがいい。
へそ曲がりを自称するなだいなださんの言葉はとてもとても共感できるものがあるし、なんといっても彼は一般的な意味での「常識人」だとか「教養人」という枠に捉われていないのがいいところだと思う。
本当に小さな本だけど、中身に書いてあることにはとてもとても重い価値があった。

読みながらPalmでとったメモがあるので貼り付けておこう。

- 群とは繁殖を目的としたグループ
- 集団とは繁殖にとらわれず一般的な目的としたグループ
- ひとは集団化する事でひとになった
- ひとがうまく集団化できたのは、互いを大きく傷つけあうための武器が生身の体に備わっていなかったから
- ひとの集団が必要以上に大きくなったのは他の集団との競争の帰結
- まず血のタブーがあって、そこから言葉や文化による差別化が行われた
- 戦争とは平和への近道となることを建前として行われるものである
- 帝国の誕生と世界宗教の発生とは必然的なリンク
- イスラム教は言葉によって、儒教は礼によって、仏教は愛によって、キリスト教は契約によって人を繋げている。(これは個人的な解釈)
- 帝国の誕生に脅かされた小国家が結束して、民族や言葉の共通性を利用して合併を繰り返した結果が今の民族紛争に繋がっている
- 宗教や思想は、その内実はともかく人々に希望を与えてくれる存在である