マクナマラ回顧録~ベトナムの悲劇と教訓~ - ロバート・S・マクナマラ
たくさんの教訓と示唆に富んだ本。
立花隆の書評に「政治に興味のある人であれば、1読、または2読にも値する」と書かれていたので読んでみた。
もともと政治の世界は苦手なのだけれど、この本をベースにした映画「戦争の霧」はとても興味深かった。
極めて優秀な1人の人間であるマクナマラが、国防長官という立場でどのようにふるまい、苦悩したかが豊富な引用資料を使って解説されている。
ケネディーやジョンソンをはじめとして、マクナマラ在任中のアメリカのトップにいた人たちの表情も読みとることができる。
前々から疑問だった「戦争努力」(War Effort)という言い方がなんとなく理解できた気がする。
特に北爆開始の際の判断や、北爆中止を訴えかけて覚書を書いたりしているくだりからは、特にそういった考え方を伺い知ることができた。
「掛け金をつり上げて白熱しているつもりが、実は掛け金なんてはじめから存在しなかった。」
国際政治においてありがちなことだけれど、「相手側が何を思って行動しているか」。
要するにそれを知ることこそが一番重要な事なのだろう。
アメリカのスーパーパワーが世界に対していかなる影響を及ぼすかどうか、もっとアメリカ人たちは真摯に考えるべきなのだ。