粉と臼 - 三輪茂雄
文化・芸術
文句なしに面白い。
現代版の柳田国男的、「臼」全般に関する考察。
臼が人間の生活に密着し、工業技術の初期の発達に欠かせないものだったのだなぁ、と感じた。
水車からの動力を臼の回転へと転用する歯車のからくりや、臼の目立て。
単純であるが故に美しい世界だと思う。
著者は元エンジニアで、大学に籍を移してから臼の研究を始めたらしいのだけど、食の文化やその他の知識にもよく通じていてひとつひとつのエピソードの紹介がとても味わい深い。
「美味しいものは美味しい」という単純な真理が忘れられている現代を憂いでいる気持ちに深く共感できた。