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2004年09月25日

感情教育 - フローベル


久しぶりに本を猛烈な勢いで読んだ。

先週末から読み始めて、金曜日の夜、土曜日の朝に上巻を読み終え、夕方に下巻を読み終えた。

人類にとって多感であった時代に、恐らく最も多感と言えるであろう都市、パリに田舎から出てきた多感な青年の周辺の人間や、社会の移り変わりを描く。
途中から、井上靖の「あすなろ物語」と同じような感覚を覚えながらむさぼるように読み進めた。

なんといっても主人公の身の回りの人間模様が一番興味深い。
そしてそれに対する主人公の葛藤・・・。

何度か、村上春樹の初期作品を思い出した。
私見だけど、「風の歌を聴け」の元ネタってこの作品のような気がしてならない。
小説の中で「フローベルが死んじまった作家だからさ」という言葉があるからではなく、小説の輪郭のようなものがどことなく似ていると思う。味付けはアメリカ風だけど。

ああ、これでフローベルの他の作品も読みたくなってしまった・・・。
あと、マルクス・アウレリアルの「自省禄」も

2004年09月21日

シルクロード - 深田久弥


なかなか面白い紙上旅行。

深田久弥がいかに卓越した想像力、洞察力、それに著述力をもっているかが分かる。
ゴビ砂漠、それに天山山脈を越える旅、それにコンスタンティノープルを発してサマルカンドを越え、アレクサンダー大王の通った道筋をなぞるように進む旅。

高校生の時にこの本を読んでいたらきっと影響受けていただろうなぁ・・・。

2004年09月20日

ヴェニスの商人の資本論 - 岩井 克人


う〜〜ん、ひねくれてねじまがった論考。

ピンと来る表現もたまにあるのだけれど、なんでこう政治系・経済学系の人って意味もなく難しい表現を使いたがるのかがわからん・・・。

あちこちで発表された小論文を拾い集めてものなのだけれど、表題の「ヴェニスの商人の資本論」は確かに題材が題材なので比較的読みやすい。

それにしても、「俺ってすごいっしょ〜ふっふ〜〜〜」な文章にしかとれないのは最近の自分がひねまがってるからかな?

2004年09月19日

ヴェニスの商人 - シェイクスピア


大傑作!!

う〜〜〜ん、なんでこんな素晴らしい本をこれまでずぅ〜〜っと見逃してこれたんだろう・・・。
これもひとえに「シェイクスピア=難しい」の公式が頭に定着していたせいですね。
常識って恐ろしい。

物語としてのツボをしっかりついていて、それをうまく広げるエピソードがたくさん散りばめられている。

ハムレットを読み終えたらこれも英語版にチャレンジしたい。

地球の科学 - 竹内均


なかなか読み応えのある本。

ちょっと古いのが難なのだけれど、20世紀初頭にウェゲナーが提唱した大陸移動説を中心に、1960年中頃までに地理学・地質学の世界で生まれては忘れられていった学説が多数紹介されている。

それなりに硬派にアカデミックな本なので、物理・化学の素養のない人が読むとキツいかも。
僕は化学が苦手なのでそれが部分的に大変でした。

岩がああしたからこうした・・・と想像にふける地質学は一見マニアックでオタッキーな学問と思われがちだけれど、大陸が動いたり地球が生まれた姿を思い描いたり・・・となかなかドラマチックな想像力を生かすことができるとても興味深い学問に感じられた。

普段登っている山がどうやってできたのか、また、大陸が移動したのならどうやって動いたのか・・・、とてもためになる読書になった。

2004年09月17日

十二夜 - シェイクスピア


面白い!

シェイクスピアって難しそう〜〜〜と思ってる人に特によさそう。
ハムレットみたいにジメジメしたところがなくてひたすらカラッとした展開で話が進む。

思わず読みふけってしまいました・・・。
恐るべし、シェイクスピア。

2004年09月15日

(新訳)ローマ帝国衰亡史 - ギボン


ギボンの有名な本を編集したもの。
PHP出版から、分厚い割に比較的安い値段で出ていたので買ってみた。

ギボンの本文と、編集の際に加えられている“解説”のつながりがあまりよくないのが気になるけれど、全体的にはとても面白い本。
家に帰るととりあえず・・・という感じでページを繰ってしまう。
こりゃまぁチャーチルもはまるよなぁ、と納得。

ローマの歴史は日本人の某女史の本を暇つぶし用にとってあって、まったりと読み進めていこう・・・と考えていたのだけれど、古代から中世、そして近代の始まりまでの流れがなんとなく頭に入った。
いずれにしても、ヨーロッパ、ひいては現代の文明はローマの存在なしにはありえなかったことがよ〜〜く分かった。

是非原文をじっくりと読んでみたい。

2004年09月06日

コンティキ号探検記 - ヘイエルダール


すばらしい!!

立花隆が記者になって、「あまり読んだことのなかったフィクションを読み始めた時代に読んだ本」として挙げられていたので前々から読もうと思っていた。

著者の冒険心、好奇心溢れる行動や、楽しげな仲間達。
それに航海の最中の魚や自然の生き生きとした描写。
「自分も同じ冒険を体験したい!」と心から思える作品。

やっぱりよいですね。
好きなことをやってる人は輝いててよいです。

2004年09月04日

ニコマコス倫理学(上) - アリストテレス


「良い」とはどういうことか、が繰り返し繰り返し論じられる本。

「何だかんだいって「フツー」が一番難しいんだぞ〜」とのたまうサラリーマン・オヤジのごとく、「中庸」が褒め称えられる。
本質的な「善」を追求すると、「徳」によって方向が定められた「行い」が「正しい」こと、・・・・そんな感じ?

正しいことをしていても、それが正しいことである、という認識のもとに行わないのであればそれを「正しいおこない」ということはできない。

なんだかね、ほんともうすごいよ、ギリシャ人。

2004年09月01日

20世紀とは何だったのか(上・下) - 佐伯 啓思


体系的に近代を紐解いていく良書。

17,8世紀の宗教戦争に始まる闇の時代と、そこから抜け出ようと一条の光を求めた啓蒙主義。
産業革命、フランス革命による「近代」の出現
そして近代以降のニヒリズムに対する考察。

デカルトによる古い秩序への決別から始まり、民衆による革命、産業による革命を経て続く現代社会の成り立ちが描かれている。

理論展開の流れはすでに頭の中にできあがっているものなのだけれど、それを丁寧に歴史的経緯を含めて説明してくれるとやっぱり分かりやすい。

現代、という時代が新しい何か、ニヒリズムから脱却できる何かを探し求めているのは常々感じているのだけれど、それがいったい何なのか、どういう形で現れるのか、というイメージが湧かない。

沢山読みたい本が増えてしまった・・・。

定本 物語消費論 - 大塚英志


前半にいくつか面白い論考がある。

その他は時代と共に流れていってしまったような残骸。
とはいえ、文化人類学に縁故がある著者なのか、現代のオタク社会を人類学的に分析する姿勢はなかなか興味深い。