ロードバイク進化論 / 仲沢隆

ロードバイクという乗り物が、長い時間をかけてどのような変化を遂げてきたか、ということを各パーツごとに詳細かつマニアックに解説した本。もともとはパーツごとの進化の歴史を取り上げた自転車雑誌の連載で、一冊の本でロードバイクの歴史が分かる素敵な本になっている。

フレームからはじまり、コンポ、ドライブトレイン、各種パーツ、さらにはウェアー類などなど、ロードバイクという乗り物がいかに多くのメーカーの絶え間ない努力やイノベーションの結果として今の形に辿り着いているか、ということがよく分かる。自転車メーカーの栄枯盛衰記としても読むことができる。

古くはクイックリリースに始まり、パラレログラム式ディレイラー、5本のスパイダーアーム型のクランク、2本締めシートポストなど、ロードバイクの進化にとってカンパニョーロが果たした功績がいかに大きいか、ということがよく分かると同時に、今では消えてしまった多くのメーカーや、シマノといったライバルの存在によってもたらされた競争の歴史についても詳しく述べられている。

カンパニョーロが台頭する以前の時代には、各国のメーカーがそれぞれの国の威信を賭けて優れた製品作りをしていたところもあるらしい。技術的な進化はもちろんだけど、優れたアイディアでありながらも埋もれていた製品が、ツールの勝者が使ったパーツとして一気にブレークしたような例も多くあるあったりするあたりに商売の難しさ・面白さを感じた。

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今は亡き前田工業のサンツアーっていうと名前は有名だけど、全盛期にはヨーロッパのプロチームに機材提供するほどの存在感を見せていた時期もあったということを初めて知って驚いた。最後に発表されたという最高級コンポのシュパーブ・プロは、某H詰選手(パパ)が今でも使っていたはず。

あと・・・マビックという会社が自分が思っていた以上に古くて(1889年創業)、その歴史を通じてずっと自転車競技に関わってきたところも楽しく読めた。電動メカで失敗した歴史は知っていたのだけれど、リムメーカーとして有名であること以上に、自転車競技に対して強い情熱を持っている会社であることがよく分かった。

ロードバイクに興味を持っている人(特にその技術的・パーツ的・文化的側面について)であれば、間違いなく楽しめる本だと思う。
安易すぎる題名はちょびっとだけ残念。

ロードバイク進化論 / 仲沢隆」への2件のフィードバック

  1. し、しまつた。
    またもや、カンパ化したい病に罹患しそうだ。
    いかんいかん。

  2. > ba-mosさん
    カンパがここまで生き延びてきたのはライバル企業との切磋琢磨が
    あってこそ、という気がしますね。
    個人的に新しいエルゴレバーの形は嫌いですが、自転車レースの
    機材と言う面で考えると本当に歴史を作ってきた会社だと思います。

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