アンドロイドがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

Xperiaの最新アップデートでAnt+が標準でサポートされることになったらしい・・・ということで、Xperia miniをゲットしてみた。

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前々から「スマートフォンはいらない」と頑強に否定し続けていたのだけど、お遊び用ガジェットとしてのAndroid機には興味があったので、安くなってる(送料込で$200くらい)この機会に・・・ということで香港バージョンをごにょごにょして入手し、b-mobileで運用することにしてみた。

結論からいうと、これはなかなかよいおもちゃ。新しいスマートフォンはどれもスペックアップしてiPhoneやNexus Oneのサイズが標準になりつつあるので、このサイズでそれなりに使える機械はしばらく出てこないんじゃないかなーと思う。ソフトウェアの自由度が高くて、たくさんの機能が詰まったハードウェアがこの値段で買えてしまうのはちょっとした驚き。

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ここでAntとXperiaの繋がりを整理しておくと・・・

AntはカナダのDynastreamが開発した無線通信のプロトコル。Bluetoothと同じ2.4GHz帯を使っていて、センサー情報のやりとりに特化させることでBTよりも小電力で通信できるのが特徴。そしてAntの上に論理レベルでより高い相互互換性を持たせるために策定されたのがAnt+。

2006年にGarminがDynastreamを買収してからは、Ant+はオープンな規格として様々なメーカーから支持を受けることに成功して今に至っている。

んで、Xperiaシリーズに載ってるのがTIのWiLink 6.0なるチップ。WifiからBT、FMラジオをサポートするためのものなのだけど、こいつは標準でAntをサポートしてる。TIとしては、BTのサブセットで「サポートできるからついでにサポートしとくか」的スタンスで載せてる機能のようだけど、Ant+がメジャー化したことの余波がこんなところに・・・という感じ。

これから出てくるXperia最新機種や、半年以上前に出ていたXperia X10やmini、mini proなどといった機種でもAntに対応するためのファームウェアに更新することで、Ant+機器とお喋りできるようになった、というわけ。

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昨年のツールではチームHTC Columbiaがレース中にリアルタイムで位置情報やら心拍数やらパワー値やらを公開する・・・という実験を行っていたけど、恐らくここで使われていたHTC機(たしかHTC Legend)にも似たようなチップが載っていて、HTC/Googleのエンジニアがカスタムメイドのファームウェアとアプリ(Google謹製でオープンソースのMyTracksベース)を準備していたみたい。

XperiaへのAnt+対応はまだ公開されて日が浅く、アプリがAnt+に対応するために必要なAPIも公開されたばかりなので、Ant+に対応するサイコンアプリの登場はまだまだこれから。既に公開されているAnt+のデモアプリを使ってみた限りだと、心拍メーターとのペアリング&数値の表示は正しく動作することを確認済み。パワーとかスピード・ケイデンスは未確認。

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MyTracksは既にAnt+に対応しているようだけど、これは汎用的過ぎるのでサイコンとしては使いづらい印象。とはいえ、tcxへの出力にも対応しているようだし、オープンソースなので気合をいれればサイコンアプリに特化した形に改造することもできるので、化ける可能性はある。既にフィットネス系のAndroidアプリはいくつか存在しているようなので、そっち系のメーカーがAnt+対応してくるのにも注目。

いわゆるサイコン以外の使い方として思いつくのは、リアルタイムで位置情報を共有するLatitudeのような仕組みを使って、レースや練習中に「**が**と一緒に1km先を逃げてる」みたいなことができたら面白いんじゃないかなーと思う。仲間と走っていて峠に先着してしまった際に、あとどのくらいで来るかが分かったり、パンク等のトラブルでストップしていたり・・・みたいなことが分かればとても便利なはず。

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あと、もうひとつ地味に期待しているのがCinQoのキャリブレーションアプリ。このへんを読む限りだと、Ant+を話すためのドングルをつけたiPhone/iPadを使って、ユーザーの手元でスロープ値を調整するQalvinなるものが開発中で、将来的にはAndroid向けのものも作る予定があるみたい。

PCとAntなUSBスティックを使って苦労すればキャリブレーションできなくもないみたいだけど、とてつもなく面倒くさそうなのでこういう簡単な方法が準備されるのは歓迎したい。

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それにしても、こうなってくるとAnt+の提唱者としてのGarminは、微妙な立場になってくるんじゃないかなーという気がする。

もともとアウトドアや船舶向けなどのニッチなGPS機器で強かったGarminとしては、GPSとAnt+の載った携帯機器がコモディティー化して価格が下がるのはシェアを失う危機のような気がするし、Ant+にしても大手のチップメーカーが台頭してくればdynastreamの出る幕はなくなってきてしまう。狭い分野に特化したプロプラエタリーな製品は、その分野では圧倒的に強いけど、その強さゆえに新しい波に対応し遅れてしまう傾向がある。

とは言ってもGarmin製品はアウトドア・サイクリング用として特化しているだけあって晴天下の視認性や防水性、タフさ、それにアクセサリー類の充実具合といったあたりで一歩先を行っているので、他のメーカーがこの分野に侵入してきてもしばらくは持ちこたえられるんじゃないかとも思う。

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なにはともあれ、オタク系サイクリストにとって面白い時代がやってきつつあるのは間違いなさそうだ。

アンドロイドがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」への2件のフィードバック

  1. 一時はポラールがそこそこのシェアを持っていましたが、今は自転車の
    世界ではGARMINが強いですね。
    ポラールは顧客の囲い込みがうまくいってないような印象。

    日本勢の話題はなんといってもパイオニーヤです。
    ANT+、Android、独自機能もついてて精度や使い勝手も上々。
    Made in Japan の面目躍如ってもんです。発売が待ち遠しいです。

    ところでMetriGearのVectorって、最近どうなんでしょ?

  2. > ba-mosさん
    GARMINはオープン化戦略でPOLARの牙城を崩した形ですね。
    でもその代償として他メーカーと同じ土俵で勝負し続けねばならないという
    カルマも背負ってしまったように思います。POLARの失敗は殿様商売の結果
    &イノベーションのジレンマと言えそうです。

    Pioneerには期待したいですが、オープンなAndroidなのでそれをどこまで
    生かした製品を作れるかどうかでしょうね。でも、ハードを作る能力では
    日本企業はまだまだ強いと思うので、モノとしてはよいものになるのでは、
    と勝手に想像しています。

    MetriGearはGarminに買収されて、今年中(だったかな)に出す、みたいな
    話になっていたような気がします。精度と使い勝手と値段のバランスが
    どのくらい取れるか、楽しみです。

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