80 Percenter

Patagoniaの創設者Yvon Chouinardの本”Let my people go surfing”に、こんな記述がある。

“僕はこれまでいつも自分のことを80%人間だと思ってきた。僕はなにかのスポーツや活動に対して、80%の熟練度に達するまで情熱を傾けるのが好きだ。だが、その向こうに行くには猛烈な熱意や特殊化が必要になり、僕はその部分を魅力的とは思わない。”

60年代のヨセミテで「フリークライミングの黄金期」を作り上げ、クライミングの道具を自作して売り出し、様々なアウトドアアクティビティーに率先して取り組み、Patagoniaを作って育て上げたカリスマの塊みたいな人に「80%」なんて言われてしまうと、自分がこれまでやってきたことは何%なんだろう・・・と悲しくなってしまう。

でも、実のところ、この記述に大きく共感を覚える自分も、80%人間の一人なのではないかと考えている。

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自分が思うに、スポーツでも何でも、80%までにたどり着くまでの過程が一番楽しくてドラマチックで面白い。そして、一旦80%までたどり着いておけば、そのアクティビティーのエッセンスは一通り身につけることができる。さらに、しばらくその活動から離れていても、比較的容易に復帰することができる。

その先に行くためには、指数関数的に高まる難易度を相手にするために、高いモチベーションと継続的なコミットメントが必要になる。一般的に言って、そのアクティビティーに完全に専念しないとたどり着けない領域だ。

子供のころからスポーツ馬鹿だったので、球技は一通りやってきたし、今でもそのうちのいくつかは続けている。でも、一番長くやってきたテニスも、「一通り闘える」レベルでしかないし、社会人になってからはじめた登山/クライミングも、「一通り楽しめる」レベルでしかない。スポーツ以外の趣味に関しても、「一通りやれるけど、その道のプロには到底敵わない」というものばかり・・・。

結局のところ、自分が「その先」に行けないのは「どうしても勝ちたい」とか「絶対に何かを達成する」という強い気持ちを持てずに、「楽しむこと」を優先してしまうところに原因があるようだ。

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で、80%人間の自分なりに、ここ3年くらい自転車に打ち込んできて、そろそろ80%の領域に到達しつつあるのかなーという予感がしている。

FTPで4.5+W/kgあればヒルクライム大会でそこそこ上の方にいけるし、集団走行の慣れててスピードの変化に対応できればロードレースでもそれなりに闘える。

今年の前半戦を自転車に専念してみて、「どれくらいやればどのくらい報われるか」がある程度掴めてきた。苦しんだら苦しんだ分だけ確実に報われるヒルクライムも好きだし、ロードレースの駆け引きやスピード感も好き。そして、何よりも気ままに行きたい場所を走ることができるサイクリングが一番好き・・・という自分の傾向がよりはっきりしてきた感じ。

レース活動は楽しいのでまだまだ続けるつもりではあるけれど、夏になって周りを見回してみたら、ここ2,3年自分の中で「絶対」だった自転車活動が相対的な何かになってしまっている・・・というのが今の自分の状況なのだと思う。

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・・・とかまぁ、小難しいことは置いといて、自転車活動は楽しいのでまだまだ続ける予定。ただし、今年前半戦のようなペースでの活動(3races/month)は二度とできないでしょう・・・。

80 Percenter」への3件のフィードバック

  1. モチベーションの維持はいろんな意味で深遠な課題だと思います。
    これは、私自身の永遠のテーマでもあります。
    モチベーション、調べだすとかなり深いですよ。

  2. このまま走り続けてテニスみたいに実業団にでもあがって行くかと思いました。
    とりあえずホビーであり続けるみたいで安心です。
    しかし、これが三味線だったらそれこそもう…(笑)

  3. > ba-mosさん
    遊びでも仕事でも、モチベーションがない時はつらいですよね。
    自転車に関しては、モチベーションがなくなったというよりも、「自転車遊びとの付き合い方」で自分にとってのスウィートスポット(上の記事でいう80%)が見つかったので、とりあえずそのへんでフワフワしとこう、という気分になっているみたいです。

    > あまがえるさん
    実業団も興味はあります!
    自転車に費やす絶対的な時間は減っても、より密度の濃い活動はできると思っているので、来年以降は出る大会も走りたいと思うやつだけに絞って楽しんでいこうかなーと思っています。
    #これまで三味線弾いたことなんてありましたっけ?

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