Estimating Functional Threshold Power

FTPの推定方法についておさらい。

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正しいFTPを知ることは、FTPの向上を目指す上での第一歩。パワーメーターを手にした多くの人は、まずFTPを計測しようとすると思うのだけど、FTPは一回測っただけではあんまり意味がない。トレーニングで狙った負荷をかけて、その継続によってFTPの向上がみられるかどうかを定期的にモニターするようになってこそ、パワーメーターを導入した甲斐があったというもの。

もっともポピュラーなFTPの算出方法は「20minTTの平均出力の95%をFTPとする」やり方。正しく行うことができればかなり正確にFTPを割り 出すことができるものの、20minTTはそれなりにきついし、ローラーだとよい数値が出せなかったりする。

20minTTから得られた数値よりは信頼性が落ちるものの、たとえば以下のような方法を使ってFTPを予測することができる。

*** MAP Testを行う

先日まとめたMAP Test

身の回り&ウェブ界隈を見まわす限りだと、それなりに正しそうな数値が期待できるみたい。20min TTに比べると、短時間・高負荷、20 min TTほど辛くない(これは人によると思うけど)、正しい手続きが必要、といったあたりが特徴。

Oyamaさんによると、Map Testの最後の1分の強度はVO2Maxに相当するらしいです。

*** 出力値の縦棒グラフから推定

“Training and Racing with…”で「まず手始めにFTP値がどのあたりにあるかを推定する方法」として紹介されていたのがこれ。GCにも縦棒グラフが追加されたのでできるようになった。もちろんWKO+でも可能。

ある程度高い強度で比較的長い時間(2-3時間以上)走ったログの縦棒グラフ(出力値)を見て、もっとも高頻度で使われている出力域の ピークから、高い出力域へジワジワと移っていった時に「ガツッ」と減っている棒のひとつ手前の出力域をFTPの予想値とする・・・というやり方。パワーメーターを入手したての時期に、WKO+を使ってた時によく やってたけど、それなりに正確な値が期待できる印象。

GC_FTP_Estimation

典型的な山岳コースの中強度練習(133km/2,267m/5h)。Z4の真ん中あたり(270Wの棒)から先でガツっと下がっているのが分かるはず。

普段の練習のデータから推定できるのが便利、ただしノウハウが必要、必ずしも分かりやすいグラフになってくれるわけではない・・・という感じ。

*** Golden Cheetahから

Golden Cheetah的にはFTP = CPと表記されているので少しややこしい。

GCのCP Estimation機能を使うと、短めの時間のCPを用意することで、既存のFTP計算式に沿った形でFTPを推定してくれる。ここから出される数値も、それなりに正しい数値だった印象。

GC_FTP_Estimation2

どういうロジックが使われているのか知らないけど、「長時間のベストエフォート」がある以上、よほど下手な計算をしていない限り大きくは外さないんじゃないかなーと思う。

*** ヒルクライムTTを行い、必要出力を計算する

パワーメーターなしでもFTPを計算する方法としては、20-30分程度のヒルクライムTTを一本行い、それを↓のようなサイトを使って解析するのがポピュラー。出てきた「必要パワー値」に0.95をかけた値をFTPとする。

http://www.electricsheep.co.jp/hc/

パワーメーター持ってなかった時代はよく試してたし、それなりに安定した数値が期待できると思う。頻繁にこれを繰り返すようになるのは「パワメーター渇望症」の初期症状。

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・・・まとめてしまうと、やはり「FTPを更新したどー」と高らかに宣言するにはパワメーターを使った20min TTが一番シュアなのかなーという印象。

MAP Testは正しい方法で実施できればかなり高精度な値を期待できるけど、ここの「正しさ」はテストの精度の誤差でけっこう変わってしまう気がするので、トレーニングの進捗を確認するためのテストとして留めておくのが吉っぽい。

そのほかの方法も、それなりによい線で「予測値」を与えてくれるとは思うのだけど、たとえばトレーニングによる成長を実感できる数値(たとえば10W)を判別できるほどの精度は難しいのかな、と思った。