華麗なる双輪主義 – スタイルのある自転車生活

ブログ「英国式自転車生活」を書いてる人の本。

方向性としては白鳥和也さんの「自転車依存症」に近くって、ただ乗って楽しむだけの自転車の本というよりも、より歴史的・文化的見地から自転車を掘り下げた本ということができそう。英国滞在歴の長い著者が到達した、著者なりの自転車とのつき合い方や、著者が観察してきた素敵な自転車乗り達の様子を丁寧にまとめたエッセイが写真や絵と一緒に収められている。

白鳥和也さんがフランス系ランドナーの人だとすると、小池一介さんは英国系ロードスターの人。そっち方面の自転車には疎いのだけど、10-20年くらいまで日本でも一般的に売られていたランドナーに対して、英国式のロードスターはさらにもう一歩踏み込まないと見えてこないマニアックな世界だなーという印象。

個人的に一番共感できたのは、「乗り手あっての自転車」というところ。

不思議なことに、部品などを一切取り替えなくても、やはり時とともにその人の自転車になってゆく。サドルの高さを変え、ハンドルの傾きを変えていくうちに、しだいに、持主のなにかが乗り移ってゆくのだろう。自転車が乗り手の「写し」になってゆく。
(P.121)

これは本当にその通りだなぁと思っていて、パーツが最小限なロードレーサーでも持ち主の性格や趣味がにじみ出てきてしまうあたりにも自転車の面白さがあるんだなぁと感じた。