走ること、出会うこと

渡米して2週間。家探しがひと段落したので、自転車に乗るのも通勤や自転車通勤のシミュレーションのためではなく、純粋な楽しみのために乗る余裕が生まれてきた。

持ってきた自転車は街乗り用のSurly Pacerだけど、それなりにスポーティーな走りができるので比較的短いライドだったら十分に楽しめる。日曜日は生憎の雨だけど、帰国する日本人駐在員さんなんかからあれこれもらいにいく活動を終えたら雨が上がりかけていたので、Palo Altoの南西方面、高速280号の奥あたりのアップダウンが連続するエリアに出かけてみた。

今度引っ越す家からもアクセスの良いCharleston Roadは、Palo AltoのMountain View側を縦断していて、Bike Laneが常にあるので安心して走れる。Palo Alto市はBike Friendlyな街づくりを宣言していて、車通りの多い大通りを避けて自転車や徒歩で動きやすい道を整備すると同時に地図(これも)も公開してくれていたりする。

Charleston Roadを南西に進み、El Camino Realを越える。El Camino Realはこのエリアで最も歴史のある通りで、メキシコからサンフランシスコまで繋がる西部の大動脈。今でも高速道路を除くと一番の賑わいを見せる。ただし、Bike Laneがないし、車通りの多い道なので絶対に自転車では走りたくない。El Caminoを超えるとArastradero Roadに道の名前が変わり、このあたりから一気に車通りが減り、基本的に信号もないので走りやすくなる。少しずつ登り基調となり、走りやすいFoothill Express Wayを超える。右側にはVMWareの本社、TeslaのHQがあるようだが、森の中にある感じなので建物の雰囲気はよく分からない。ちょっとしたアップダウンが出てきて、高速280号の下をくぐってしばらく並走し、少しだけPage Mill Roadに合流してから右折していくと、なんとものどかな雰囲気になってきて癒される。自然保護区になっていて、丘の上では馬が悠然と歩いていたりする。

ちょっといくとAlpine Roadに合流。ここはのどかな雰囲気ではないけど、日本だったら車一台分のレーンと言うことができそうな広いBike Laneがあり、Palo Alto市内側に向かう道は緩やかな下りが続くので快調に飛ばせて気持ちが良い。もちろん信号はほぼ皆無で、稀にSTOPサインが出てくるくらい。

高速280号をくぐってちょっといくと三叉路になっていてここがAlpine Roadの終点。右折してJunipero Serra Blvdに繋げるとここも走りやすい道が続く。このあたりは全体的にStanford大学のキャンパスで、三叉路のあたりは大学のゴルフコースが広がってる。そのまま直進していくと、CupertinoやSunnyvaleあたりに住んだ場合の自転車通勤シミュレーションで何回か走ったFoothill Express Wayに繋がっていて、Page Mill RoadかArastradero Roadで左折することで市内に戻れる。

ってわけで、たった1時間弱のサイクリングだったけど、のんびりとした広大な自然の中を走ることができて、見たことのない風景に出会えて、上り坂では苦しみ、下りでは快調に飛ばし、自転車活動のプリミティブな楽しみを再確認することができたという意味で、とても有意義なサイクリングだったと思う。

多くの人にとってもそうであるように、自分にとって自転車とは、身体を効率的に使って動くためのツールであり、未知のものと出会うツールであり、最もシンプルな形での自転車活動にこそ最高の楽しさがあるのだな、という思いを新たにした。