Fleche 2017 – 振り返り

初めてブルベ的なものを走ったので、反省点も含めてあれこれ思ったことを並べてみる。

まず、機材に関しては色々と改善の余地あり。

  • レース向けの遠くて低い落差の出るポジションだったので(コラムが1cmも残ってない…)、後半は上腕や背筋など上半身に疲れがきてブラケットポジションを維持するのがキツかった。もう少し距離を乗り込んでたら大丈夫だったのだろうけど、空気抵抗を意識することもそんなにないので、アップライトなポジションにできる自転車が正解
  • 人やコースによるだろうけど、ブルベの巡航速度は25-35km程度なので、50-34に12-27あたりをつけるか、あるいはフロントシングル(42)に10-36とか10-32あたりがよさそう
  • 雨天が予想される場合、リアだけの簡易なものでもよいので泥除けをつけるべきだった(おしりが濡れるし、後続に水がかかる)
  • ロード用のビンディングペダルは固定力が高めなので、疲れてきた終盤戦は外すのが億劫(足に力が入らず思ったように外れてくれない)。歩くことも多いのでSPDのほうがよさそう

ヘッドチューブ長めのフレームに、フロントシングル(42×10-36)のコンポ、頑丈でよく回るホイールに25cの耐パンク性能の高めのタイヤ、それに輪行袋、工具類、雨具といったものが収納できるサドルバッグあるいは何かしらスマートな収納グッズが装着されたような自転車…これがブルベを走るとしたら理想かな、と感じた。

(雨具の上下、財布、スマホ、鍵、空気入れ、クリフバーx2)

荷物のパッキングについては議論の余地がありそうだけど、やっぱり自分は大きなサドルバッグはをつけたくないなーと思ってしまうので、その場合はいかに最小限の装備にまとめるかということになりそう。ロードレーサーのスタイルは、あくまでシンプルでミニマムであらねばならない…ことに変にこだわりすぎているのかもしれないけど、ここはどうしても譲れない(汗)。

と同時に、ここ一発のスピードや軽さが求められない代わりに、信頼性と耐久性とパッキング能力を重視した自転車っていうのも一定のニーズがありそうだけど、これがいわゆる「バイクパッキング」ってことになるのかな?輪行して気持ちの良いところを走って、シンプルな装備でキャンプして、また好きなところを走って輪行して帰る…みたいなスタイルのアクティビティーはすごく楽しそうだし、可能性が広がりそうな気がした。

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雨具については、基本は装備に含める前提で、気温やコース、天気予報に応じて判断するのがよさそう。ミニマムな装備という観点でいくと、濡れてこごえるとか、10時間以上連続で雨に降られるようなコンディションでなければ、雨具のパンツはなくてもよいかなーという印象。また、雨に継続的に降られる可能性が少なければウィンドブレーカーでも問題ないはず。

自分が使っている雨具はモンベルのバーサライトシリーズで、必要最小限の防水透湿性能と耐久性をもった軽量雨具(それでいて良心的な価格設定)として定番のモデル。トレランスタイルでの山登りでも愛用しているのだけど(レビュー記事)、今回自転車で走ってみた印象としても、機能面、防水性能面で問題は出なかった。ただし、山登り用のシェルということでレイヤリングを前提としたシルエットなので、薄手のウェアの上から着ると袖が盛大にバタバタしてしまうのは不満。

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今回は、財布にコインを一切入れずにSuicaに5,000円くらいチャージしてコンビニでの支払いは全面的にこれを利用。スマホもバッテリーセーバーモードにして、走行中はフライトモードにして通信をきって運用したところ、最後までギリギリバッテリーがもった。

ナビは使い慣れたEdge 705と500に100km, 100km, 200kmに分割されたTCXファイルをコースデータとして放り込んでおき、走行時には適宜コースデータを呼び出して利用。とても頼りになって、ミスコースは基本的にゼロ。途中で立ち寄るチェックポイントのコンビニは距離でしか管理していなかったけど、コースデータにウェイポイントとして登録しておけばより確実にたどり着けるのかな?ウェイポイントの使い方がよく分からないので不明。前半使ったEdge500のバッテリーが切れてからはEdge705にスイッチしたけど、ある程度正確な累計の走行距離を知るにはEdge 705のスタートボタンを押したタイミングからのオフセット分を足さないといけなかったのでちょっと面倒だった。

昨年トレラン用に導入した腕時計GPSのGarmin Fenix 3もバックアップとして利用して、こちらにもコース情報を入れてUltratracモードで記録を採取。Ultratracモードの距離や速度は誤差が酷いので、あくまでコースをなぞるためのバックアップという位置づけだけど、それなりに使えるなという印象は受けた。ただし、公称50時間のUltratracモードでも、Navigationを使うとバッテリーの減りが激しいらしく(?)ゴールの時点でバッテリーの残量は10%を切ってた。24,5時間の運用ならなんとかなりそうだけど、それ以上は厳しそう。

ブルベに特化するとなると、GPS非依存のスピードメーター(距離を確実にトラックするため)と、ナビ用の乾電池で動作するGPSデバイスの組み合わせが実用的なのかなと思った。GPSサイコンをハブダイナモ、あるいはモバイルバッテリーで充電しながら走る…というのもありかも。

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走り方については、メンバーやスタイル、コースや局面によって異なるので難しいなという印象を受けた。

単独のブルベであれば、単純に長時間走ってタレないペースで黙々と走り続けるだけだと思うけど、長距離&集団走行のブルベの場合、大きな集団効果が期待できるほどの速度域ではあんまり走らない&くっついて走り続けることによる疲労もあるので、先頭がガンガン引いて…というよりも、先頭が後ろの様子を見ながらペースメークして走るというスタイルになりがち。今回はリーダーのM波さんにメインで先導してもらう形にして、自分はペースが落ちてたり前を引く意義がありそうな局面で前に出る走り方をしてた。

ロードレースは集団の力が圧倒的だけど、Flecheのようなグループライドの行動を最適化するには山登りのパーティーのようなアプローチが効果的なのかなと感じた。例えば、コンビニ休憩等についても強い意志でもって必要最低限の時間で済むよう各人が努力する必要がある。これは散々言われていることのようだけど、集団行動のFlecheの場合、メンバーの数が増えれば増えるほどトラブル、トイレタイム、足があわないリスク、疲れや眠さが来るタイミングといった変数が増えるので、途中リタイアの保険ということを含めて考えても、単純に人数が多ければ多いほどベターというものではないなと感じた。

ブルベ初心者の自分がいうのもなんだけど、Flecheの面白さと難しさはこの「グループで長距離を走る」というコンセプトそのものに集約されているのかなと思う。コース設定が任意で、走り始めてからも柔軟性があって、自分たちで判断して局面を切り開いていくのは、必然的に「冒険」要素が強い活動になる。

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準備という意味では、ロードバイクでロングライドの経験がある人(週末に160-200kmの山岳コースを走れるレベル)であれば強力なライトや反射ベストといったブルベ・スペシフィックな装備を整えれば、300-400kmのブルベはそれなりに問題なく走れるんじゃないかなーという印象を受けた。

フレッシュの完走を狙うということだけであれば、特別にフィットネスレベルを高めるというよりも計画や機材の準備、それにチームとしての機能を高める方に力を注いだほうがよさそう。自分の場合、ほぼ何も持久系の運動をしていなかった冬を超えて、3月から週1-2回の40-50km程度のライド(別名・朝の水汲み)を継続することで最低限の「走れる体」は作れたかなと思う。

 

ブルベの面白さは、自分の自由意志だけでは実行にまでは至らないようなサイクリングを実践するきっかけを与えてくれて、他にも同じコースを走る仲間たちがいて、普段のサイクリングでは走らないようなコースを走る楽しみがある…というところにありそう。

大人のアドベンチャーとして、入念な計画や準備をする楽しみもあれば、実際に走る際にも純粋な体力勝負ということ以上に戦略的に賢く決断していく必要もあって、そのあたりが人がブルベにはまっていく魅力なのだと感じた。