やっぱり山が好き

先日はまったり系の雪山に行きましょう、ということで雪山初体験の3人を大菩薩嶺へご案内。

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ピカピカの天気に恵まれて、初日は大菩薩嶺周辺の展望がバッチリ。翌日は冬型の気圧配置で稜線は風が強かったので、小金沢山-湯ノ沢峠の縦走は諦めて奥多摩方面に転進。松姫峠へと通じる牛ノ寝通り(面白い名前ですな)尾根から小菅の湯に下り、温泉に入って下山。雪山の楽しさも厳しさも感じてもらえるツアーとなった。

所属している会社の山岳部に入ったきっかけは、社会人一年目に行ったチベットの印象があまりにも鮮烈だったから。お寺巡りの際に登った裏山があまりにも気持ちよくて「日本にも山があるじゃないか」「せっかくに日本にいるんだから山に登らにゃ」と考えて、山岳部の門を叩いた。

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中学・高校時代は学校の登山(全生徒参加)で雪のある北アルプスに行ったりしていたので、山岳部に入部するにあたってイメージしていたのは、ハイマツの緑と雪の白のコントラストが綺麗な雪山。「雪山がやりたい!」とリクエストして入部した年には、雪山入門として大菩薩嶺、天狗岳(八ヶ岳)、白毛門、西穂高…と、いい具合にステップアップさせてもらうことができた。山登りの実地的な技術や知識は経験豊富な先輩方から学ぶことが多くて、テントでの生活術、パッキング術、ロープワーク、レスキュー技術などなど、お金を出しても学べないことをたくさん教えてもらえたのは本当に有り難いことだったなと今にして思う。

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岩登りに沢登り、マイナールート巡りにハイキング…と一通り山登りはやってきているけれど、やっぱり好きだなと思うのは雪山。まだ誰も歩いていない雪の上に自分たちだけのトレースをつけていく感覚は冒険心を大いにくすぐるわけで。

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天気が荒れた稜線で行動しているような時は肉体的にも精神的にも厳しいけど、ピークを越えて樹林帯などの安全地帯に入れば、ホッとすると同時に強く「生きてる」実感が沸いてきたりして。

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気持ちのよい斜面があればすぐに雪滑りの時間で、身一つで快適に下山していける爽快感は子供時代に戻ったかのような感覚で楽しむことができて…。

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なにはともあれ、やっぱり自分は山が好きだなぁ、と再確認。

そこには純粋化してスポーツになりきることのない人間としての総合力が問われる「何か」があって、その「何か」に強く惹き付けられているから。それは「遊び」であり「冒険」であり「競争」であり「サバイバル」であり「自然との対話」であり「文化」であり「作戦」であり・・・自転車のロードレースにも同じような要素が多分に含まれているな、と思う。

例えば、フリークライムにハマって5.12の壁(アマチュアからするととてつもなく難しい)が登れるようになったとして、それはフリークライミングのスポーツ的価値観からすれば物凄く評価されることだけど、本番の岩登りではザックを背負いながら5.9を「絶対落ちずに」登れることの方が重要だったりするし、さらに言えば、難易度の高い壁まで辿り着くまでのアプローチを無事にこなす能力のほうがよっぽど大切。

自転車レースでも、例えばヒルクライムは40分なり60分なりの時間でベストパフォーマンスを出すのはある意味単純な評価軸に沿った練習を続けていく「スポーツ」と言えるけど、6時間7時間と走る中でガツッとペースを上げたり、ダラダラ走ったり、集団の中でうまく動いたり、食事をしたり、喋ったり、作戦を考えたり…ということができるロードレースはもちろんスポーツではあるけどより総合力が求められる営みだと言えるわけで。

何が言いたいのか分からないけど、色んな要素が混ざりあって渾然一体となっているロードレースは本当に魅力的なスポーツだよね、ということなのでした。