2011 ツール・ド・おきなわ 140km

2011年の自転車レースを締めくくるツール・ド・おきなわ140kmに参加。

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沖縄本島北部のやんばる地域を大規模に交通規制して行われるこのレースは、日本では数少ない「変化に富んだ長距離コースを思いっきり走れる」貴重なレース。「アマチュアレーサーの甲子園」とはよく言ったもので、特にプロと同じコースを走る市民210kmカテゴリーはアマチュアレーサー最強の座を巡って毎年熱い戦いが繰り広げられる。自分はまだ210kmをレースペースで走れる自信がなかったので、まずは勝負に絡む走りができればよいな・・・と市民140km カテゴリーへのエントリー。

今年はJBCFのレースで経験をつんできて、短時間高強度のレースへの対応は自信があったので、10月に入ってからはおきなわを見据えたロング練を積極的に実施。JBCFレースで初の入賞もゲットして調子のよさを感じていたものの、計画通りの練習を積み重ねていったん緩めようとした10月末に突然に腹痛に見舞われてダウン。その後もおなかの調子が悪い状態が続き、しっかり食べれない&食べても栄養吸収ができなくて体調が悪くなりがち&消化に悪いものを食べるとおなかの調子が一気に悪くなる・・・という悪循環にはまってしまい、11月に入ってからまともな練習ができたのは11/3の房総練のみという状態でのおきなわ入りとなった。

土曜日におきなわへ移動してからもお腹の状態は悪く、活動し続けているとダルくなったり頭が痛くなったり。前日は夕ご飯を食べてすぐにベッドに入り、できるだけ回復するように努めてレースに参加。「大した走りはできないかもな」という諦めの境地が功を奏したのか、ラスト10kmに残った16人のスプリントでギリギリ3着に入って入賞することができた。

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以下、覚えてる限りのレース内容。

7 時半くらいにスタート地点の道の駅に移動して出走票を提出。ゼッケン番号が若くて前の方に並ぶ権利があるF井さんは一旦ホテルに帰ったものの、ゼッケン番号が中盤以降の自分とKOHさんは前方に自転車を並べて待機。8時を過ぎると気温が上がってきて、日差しが暖かい。雨も降らなさそうだし、今日は絶好のレース日和になりそう。

国際レースが早めの時間に通過したということでスタート時間が10分早まり、9:05のスタート。「少し熱があるかな」とか「もっとよいコンディションで走りたかったな」とか、色んな思いが交錯するけど、そういった弱い気持ちはスタートラインに並んで集中して吹き飛ばす。

号砲が鳴ってスタートしていくと、まずは長いダムの登りまで5kmの平坦。300人以上いる集団の中で、5,6列目くらいからの出走だったので、50-60 番手よりもポジションは落とさないように意識して走る。1本目の登りでは無茶苦茶にペースが上がることはないだろうと思っていたので、無理して上がるよりも落車リスクを避ける意味で左サイドに寄って走る。

右折して登りにさしかかるものの、序盤は斜度が緩いのでハイスピードで進行。ところどころギュッとキツくなるところでは、落ちてくる前走者をかわしながら少しずつポジションアップ。2,3kmいったところで20番手くらいの安定したポジションまで上がれたので、無駄足は使わないようにして淡々とついていく。山岳賞を超えてダウンヒルになると背の高いPrimaveraの人がガンガン行くのでそれに続いて下る。

補給ポイントを超えて下りきると、集団はまだまだ大きくて100人近くいる感じ。サイクリングペースだったので集団最後尾まで下がって固形物を摂ったりストレッチをしたりして後半戦にそなえておく。2本目の登りに向かう途中にある奥の登りは短いしペースもそんなに上がらないので、適当に走っていたら集団前方に出た。緩い下り区間では試しに前に出てペースアップを図ろうとするものの、ペースを上げたい4,5人とその他大勢の意思がかみ合わずにローテも回らない。再び集団後方に下がって休憩して、岬を回って海岸線を南下していく。

この区間は追い風で速度がのり、よいポジションで登りに入ろうという気持ちが働くために集団前方は一列棒状になる。工事区間が多くて道が狭くなったりするのだけど、何回もサイドから上がる動きが起きるのでちょっと怖い。自分も少しずつポジションを上げて30-40番手くらいに落ち着いて、登りに入る。

2 本目の登りは足のある人とない人の差がはっきりと出るので、集団前方ではgoroさんとMaxSpeedの人がペースを上げて集団をふるいにかけてくる。斜度がキツくなって、一旦緩んでまたキツくなるあたりで少し前がバラついていたので、ギュッと踏んで20人くらいの先頭集団につく。後ろはこの時点で崩壊気味で、ちょっとしたら見えなくなった。こういうタイミングで先頭集団に飛び乗るのは今年のJBCFで磨かれたスキルのうちのひとつ。

中盤を過ぎたあたりでもペースは緩まず、今年から覚えた重いギアを使ったダンシングを駆使してついていく。なんでもないところで左後方の人が落車して、1人か2人を巻き込んで脱落。KOHさんは4,5番手の好位置につけていて余裕がありそう。F井さんは苦しそうになりながらも集団最後尾でZaikouさんと一緒に登ってきた。生き残ったのは20人ちょいで、同宿の3人が3人とも2本目の登りのサバイブに成功できた。

一旦下って補給ポイントの登りでダンシング・・・と思ったら、脚がつり始めていたのでちょっと焦る。スポドリをもらい、シッティングでクルクル回すことを意識して集団後方で進む。残っている中で知っているのは、goroさん、Zaikouさん、yasさん、物見山のK村さん、synergyのtinoueさんといったあたり。間接的に知っている人数名や、走りを見ていて「この人は強そうだな」というのはある程度見当はつくものの、まだ集団の中で余力を残している人がいそうな雰囲気。

高めの斜度が2kmほど続く高江の登りに入ると、synergyの二人組が前方でペースを上げる。斜度が一定なのでひたすらシッティングでクルクルまわしてついていく。登りきった先は緩い登りが続き、そこからは長い下り基調のアップダウン。登りきったあとで試しにダンシングして、復活していることを確認。まだ中途半端に人数が残っていて、誰が強いのかも分からないので、動きたくても動きにくい状況。ペースを上げようとする前方の4,5人と、それ以外のメンバーの意思があわない。

海岸線に下りきってしばらく行くと、synergyの人が「のんびりしてるから後ろから追いつかれちゃったよー」と教えてくれる。最後尾まで下がることはなかったので正確な人数は分からないけど、20人弱の集団が追いついてきてドッキングした模様。このあたりで集団にムチが入ったのか(?)、平坦の速度が上がって少しずつローテが回るようになる。一応自分も足を使いすぎないようにローテに参加。

ここまで来ると、あとは羽地ダムの登りで最後のセレクションが行われて、そこからの勝負になるだろう・・・という展開がイメージできたので、できるだけ脚を残せるように、ダムの登りでダンシングが復活できているように・・・と意識してペダルを回す。この先の小さな登りでは、ダンシングが復活したりしなかったり。羽地ダムの登りで生き残れるか心配になりながらも弱気の虫は頭から追い出す。

羽地ダムの登りの手前にある有銘の登りもそこそこ急な登り。ここでも登りはじめからペースが上がり、集団後方はすぐに崩壊。またドッキングされるは嫌だったので、ペースが緩んだタイミングで強めに踏んで前に出て、ペースアップを促す・・・と思ったら単独で飛び出してしまった。仕方がないのでそのまましばらく緩い下りを偽TTポジションで軽めに踏んで、ちょっと先で集団と合流。ここで再び集団が2本目の登りのサバイバー主体の20人くらいになる。もう一段あった登りでは、脚がつって切れそうになりながらもなんとかクリアー。ここでペースが上がっていたらヤバかった。

ここまで来ると、ペースを落としたくない意思が揃ってくるのでそこそこスムーズにローテが回り、湾を右折してハイペースを維持したまま羽地ダムの登りに突入。昨日は勝負どころになるであろうここの登りだけを車で走っておいたのだけど、結果的にはこれが吉と出た。アタックがかかるわけではないけど、脚のある数名がハイペースを維持するのでかなりキツい。幸運にもダンシングが復活していたのでグリグリ踏んで集団後方でついていく。KOHさんは登り口の手前で (脚が完全につって)遅れてしまい、F井さんは登り口を過ぎたあたりで「俺は駄目っぽいから頑張れ」と言い残して後退。物見山K村さんもここで遅れるのが見えた。

トンネルを越えて残ったのは12人。この局面でまだ脚が残ってそうなのは集団前方で後ろを振り返りながらチェックしてるDOKYUの人と、終盤になってから存在感を増していたSECOND WINDの人、あとは背の高いAVELの人あたり。右折して短い急な登りに入ると、tinoueさんがガツンとペースを上げてアタック。全員が反応してついていき、ダウンヒルをこなしてもう一回登り。全員が周りの様子を伺いながら進む。完全に勝負モードに入った集団の緊迫感がビリビリ伝わってくる。ロードレースで一番面白い瞬間。

自分はもう脚がないので、無理はせずとにかく集団後方でついていく。トンネルを越えて、短いダウンヒルをこなして国道に出るとどうやら3,4人が追いついてきたようで、物見山K村さんが復活。15,6人の集団がハイペースで国道を進む。もう残りは10kmを切ってるので、スプリント勝負を意識。10人未満の少人数スプリントであれば、2,3着までに入る自信があったので、自分にとっては悪くない展開。

残り5kmのジャスコ坂の手前でyasさんに「残りましたねー」と声をかけると、「ちょっと行かせて」と返ってきた。横にどくと、そのまま集団に右側からガツンとアタックして飛び出していく。ワンテンポ遅れて追走がかかるものの、ジワジワと差が拡がっていく。追走の2,3人とギャップができてしまって埋めたかったのだけど、ギリギリの状態なので前の人につくので精一杯。ジャスコ坂を下った先で追走集団がひとつになって一旦ペースが緩み、そこからまたローテが回って追走モード。

自分のローテの順番のときにyasさんを捕まえたので、「お疲れ様でしたー」と声をかける。ここで残り3km。あとはスプリントに向けたフォーメーションになってペースが上がり、国道から左折して残り2km。脚の感じからしてSECOND WINDの人と東京理科大の学生が強そうだったので、マークするように意識。ここからゴール地点に向かう区間も昨日歩いて下調べしていたので、集団後方からどのトレインにつくかを冷静に見極めながら走ることができた。

1km 切った先からtinoueさんが先頭を引き、それに数名が群がる状態になって残り400か500mくらいから何人かがかけはじめる。まだ早いと思ったのでその動きにはつかず、300mを切って伸びていくラインにくっついてラスト200m。ゴールラインが見えたので、腰を上げて右側から飛び出す!・・・と思ったらパキパキにつってしまったので、あわてて腰を下ろして低い姿勢でグリグリ踏んで、ゴールラインではハンドルを投げてゴール。

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(cyclowiredより拝借)

青いジャージのSECOND WINDの人に先着されたのが分かり、他の3,4人とほぼ同じタイミングで飛び込んだ人がいたので5着くらいかな?という感じ。ゴールを超えていたところで他のメンバーと健闘を称えあっていると、ゴールシーンを見ていたチームメイトのありさんが、「やまけい3位だよ」と教えてくれた。

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機材はExtreme-PowerにWH-7900-C24 CL。タイヤはVittoria Corsa EVO SC。9月10月とずっとこの組み合わせでレースしてきていたので、安心して走ることができたと思う。

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個人的な印象として、今回のレースは(も?)誰が強いのか、誰が足を残してるのか、よく分からないまま緩めのペースで進行して、最後の羽地ダムからようやく本当の勝負がはじまって・・・という展開だったのかなと思う。二本目の登りで生き残った20人の力がある程度拮抗しており、突出した存在がいなかったので多くのメンバーが暗中模索の状態で走り続けていたんじゃないかと感じた。

そんな中、2本目の登りやレース全体をリードし続けたgoroさんや登りで積極的だったtinoueさん、ラスト5kmで独走に持ち込もうとした(&スプリントでも4着に入ってた)yasさん、その他多くの人たちは確実に自分よりも強かった。

それでも自分が3着に入れたのは、体調不良のせいで消極的な走りをする意識が強かったのと、スタートからゴールまで限界ギリギリの高強度になることが多いJBCFのレースを走ってきた経験、それから最後のスプリントでも冷静さを保てたこと&「運」・・・といったところなのかなと思う。

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必ずしも強い人が上にくるわけではないあたりにロードレースの魅力がある。

勝てなかったのは残念だけど、よい形で今年の自転車レース活動のフィナーレを迎えることができてよかった。素晴らしいレースを開催して下さっているツール・ド・おきなわ関係者の方々、「チバリヨー」と太鼓を叩きながら応援してくれる地元の方々、それに一緒に闘った方々、どうもありがとうございました。

2011 ツール・ド・おきなわ 140km」への3件のフィードバック

  1. すばらしい!冷静な展開はいつもながら流石ですね。レポート楽しく読ませて頂きました。
    よっしーさんが移籍となるとやまけいさんがCBのエース??

  2. うまいです。
    本調子でないなりに、残せたところに、らしさを感じます。
    好天に恵まれ、よかったです。

  3. > ヤマさん
    うーん、でも、やっぱり、勝ちたかったなぁ・・・。
    CBにはエースとかそういうのありません(笑)。

    > ba-mosさん
    ありがとうございます。
    体調がよければもう少し積極的に動けていたとは思いますが、それが結果に結びついたかどうかは分かりません。中盤がサイクリングになってしまったのは少し残念でした。

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