Train or not to train: that is the question

自転車競技でのパフォーマンス向上や、レースに向けたコンディショニングを考える上で、大切になってくるのが「いかに休むか」ということ。

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今年からシマノで走っている西園選手も書いているけれど、フルタイムのレーサーとそうでない人のトレーニング環境・プロセスの一番の違いはレストの量であり質なのではないかと思う。

例えばFTP250Wの人がいたとして、FTP向上を狙って250W近辺でのトレーニング量をできるだけたくさんこなそうとしたとする。

調子のいい日は250W20分なり30分なりのトレーニングが何本かできているとして、疲れが溜まっていたり調子の悪い日には220W10分も出せなくなってしまうかもしれない。250Wで鍛えることができる代謝システムと、220Wで鍛えられる代謝システムは別物なわけで、狙っているトレーニング効果が得られるチャンスは減ってしまう。

「トレーニングの質を大切にしなさい」とはよく言うけれど、これは裏を返せば「優れた質のトレーニングができる状態を維持しなさい」(=次のトレーニングに向けてしっかり休む)ということ。

トレーニング以外の時間を全て回復時間に使えるフルタイムレーサーに対し、フルタイムワーカーとして自転車競技を楽しむアマチュアレーサーは、「十分に休息できているか」「トレーニングで狙った負荷をかけられているか」「ストレスは溜めていないか」といったあたりのことに大いに気をつける必要があるのだと思う。

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さらに、トレーニング本によく出てくる事例として、引っ越しや転職、結婚や子育てなど、生活環境が大きく変わることで目に見えない形で精神的・肉体的ストレスが身体にかかり、自転車のトレーニングやレースでのパフォーマンスが落ちる、ということもあるらしい。そういう時は無理にトレーニングで負荷をかけずに、あえて休息しないと大きくコンディションを落としてしまうとのこと。

自転車のエンジンであるところの人間はあくまでナマモノなわけで、よく食べて、しっかり休んで、ストレスがかからないようにして、はじめてベストなパフォーマンスが出せるようになる・・・ということらしい。

あと、「レースをやってる高校生や大学生の伸びが凄い」なんて話はよく聞くし実感としてもあるけれど、これも一番の理由は彼らの回復力によるもの。加齢による回復力の低下の原因は諸説あるようだけど、いずれにせよ若ければ若いほど密度の濃いトレーニングを続けることができるわけで、それだけ成長も早くなる、ということなのだと思う。

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自分が意識しているリカバリー手段をまとめてみると・・・

  • 乗らない
  • トレーニングしても効果が得られなさそうな時は乗らずに休む。その分よく寝るとか、ストレッチするとか、お風呂入るとかして身体を休ませる。あるいは、自転車とは違う筋肉を使う運動をやって、身体をリフレッシュさせる。どうしても自転車に乗るぜ!という場合は、ハイケイデンストレーニングや、気楽なサイクリング程度に留めておく。

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    レースが近かったり、仲間が強くなってたり、天気がよかったりすると「走りに行かなくちゃ!」という気持ちになりがちだけど、そこであえて休むのには勇気がいることもあると思う。そういう意味で、自転車活動以外に気晴らしの手段やルーティンを持っているのは大切なんじゃないかと思う。

  • 睡眠
  • 寝られるだけ寝てしまえるのが理想で、身体のバイオリズムにあわせて快適な環境で「グッスリ」眠る、質の高い睡眠を心がけたいところ。トレーニング->食べる->眠るというプロセスがひとつの形なので、一日空いている日はあえて早めに切り上げて、食事を済ませて昼寝・・・というのもアリなんじゃないかと思う。

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    自分は8時間くらい眠らないと睡眠不足を感じる性質なのだけど、ここのところ6-7時間しか眠れていないのでこの点に関しては要改善。

  • 食事
  • トレーニング後はなるべく早いタイミングで失ったカロリーを摂るべき。食べ過ぎない程度にバランス良く食べるのが理想で、食事のレシピとしては「自転車ゴハン」なんかが参考になるかも。

    自分の場合、朝ご飯は毎日同じでパン焼き機の全粒粉パン、自家製ヨーグルトにメープルシロップ、それにフルーツというメニュー。ときどきパンの代わりにムーズリ。昼食は12時頃に会社の近くで好きなものを食べて、夕食は6時頃に会社の食堂で身体によさそうなものを選んで摂取。平日に関して言えば、一般的な会社員としてはそこそこヘルシーな食生活を送れているのではないかと思う。

  • サプリ
  • トレーニング直後のプロテインだけは確実に効果があるな、という実感がある。筋量が増えるというよりも、筋肉痛からの回復が明らかに早くなるので、ある程度以上負荷をかけたトレーニングのあとは必ず摂取するようにしている。自分が愛用しているのは牛乳に溶いて飲むと美味しく飲めるザバスのココア味。

    ただし、プロテインを摂取していると体重が落ちにくくなる印象があるので、ヒルクライムなんかで体重を落としたい時はセーブしたほうがよさげ。今年の前半は、プロテインの代わりにアミノ酸サプリを試していたのだけど、回復効果が得られている感触が得られなかったので、プロテインに戻した。

  • マッサージ・ストレッチ
  • これは最近から強く意識するようになった。前にスポーツマッサージを受けた時に「股関節が硬い」と言われてストレッチ方法を教えてもらったので、トレーニング後やお風呂の後にそれをやったり、アフターアクティビティクリームやマッサージオイルを塗って念入りにセルフマッサージしたりしている。セルフマッサージは確実に効果があるな、と思う。

  • お風呂
  • これは好き好きだけど、リラックス効果は確実にあると思う。汗を流してさっぱりして、身体を温めてから風呂上りに水分を摂ってマッサージ・・・という流れを作りやすいのがナイス。

  • コンプレッションウェアー
  • 導入した当初は寝るときに使っていて、回復効果どころか逆に疲れるような印象があったのだけど、普通に起きている時(主にデスクワーク中)に着用することで効果を実感できるようになってきた。特にハードなロングライドの翌日など、筋肉痛が酷い時に着用していると回復が早まる印象。

    人によっては寝てる時に着用して効果があるという人もいるので、謎の多いアイテム。「着るサプリ」とはよく言ったもので、「信じるものは救われる」的要素が大きいのかな、と思う。

Train or not to train: that is the question」への2件のフィードバック

  1. ザバスのココア、お世話になってます。
    人肌に温めた牛乳に溶いてゆっくり飲み、
    その後熱すぎない湯船でマッサージ/ストレッチすると
    次の日の疲労が少なくなりますね。実感として。

    サプリメントはマツキヨなどで百花繚乱状態ですが、
    自分に合うのはキヨーレオピンとかにんにく卵黄油などの
    にんにく系です。
    けれどモノの本によるとにんにくの成分は造血を
    阻害するそうなので注意が必要かもです。

  2. > ba-mosさん
    ザバスのココア、美味しいですよね。
    運動後の回復ルーティンはそれぞれ違うと思いますが、
    やはり栄養とってリラックスして休む、ってのが黄金
    パターンだと思っています。

    サプリは正直言ってよく分からないんですよねー。
    確実に効果を実証するのが難しいですし。

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