今そこにある機器

2011年半ばのパワーメーター事情をおさらい。

P1030920

  • SRM
  • 相変わらずマイペースにやってる印象。
    TUNEのクランクに対応したり、カンパ11速用のも出して来たり(公式リリースはまだ)、と着実に対応クランクは増えてる。信頼と実績でプロが使い続けることになりそうなので、当面は「キング・オブ・パワーメーター」としての地位は安泰かな。

  • QUARQ
  • 5月にSRAMによる買収が発表されてた。

    ベンチャーのまま製品化までたどり着いたのは天晴れだと思うけど、いつもストックを切らしてる印象があったので、マスプロ体制を築ける企業に買収されること自体はよいことだと思う。PowertapもSarisに買収されたことで製品化に漕ぎつけた歴史があるらしいし、原理レベルでモノを作ることと、製品レベルでモノを作ること(そしてそれを商売ベースにする)の間には、大きなギャップがあるわけで・・・。

    エンドユーザーにとってのデメリットは、SRAM以外のクランクとの組み合わせがサポートされなくなること。当面はSRAM以外のCinQoの販売は継続するようだけど、在庫限りになりそうな予感。既に出荷済みのものについては保証期限(2年)の範囲内でサポートされ、保証期限を過ぎて壊れたものは有償でSRAMクランクのものに交換対応になるらしい。SRAMからすれば他コンポメーカーに先んじて「純正」のパワーメーターをアピールできるわけで、なかなかよい買い物だったんじゃないのかねーと思う。

    ちなみに、CinQoのキャリブレーション操作等が行えるiPhone/iPadのアプリ(Qalvin)もようやく出たみたい。iPhoneはそのままだとAnt+は喋れないのでドングルが必要だけど、ユーザーの手元で簡易な操作でslope調整が行えるようになったのは大変ウェルカム。「Android版も開発する予定」とかどこかで言っていた気がするので、自分はそれ待ち。

  • Powertap
  • PowertapはSL+の代わりにG5なるモデルが出るらしい。412gのSL+に対してG3は325gと軽い。SL+は廃番。Pro+も466g->440gと軽量化して価格も安くなるらしい。さらに、EDGE改めENVEのリムと組み合わせた完組みホイールも本家から売り出すとのこと。手を出しやすい価格設定といい、ホイールつけるだけという分かりやすさといい、新参者にシェアは譲らねーぜという感じ。さらに、Jouleもアップデートされて小型化するみたい。GPS付きのモデルも出るのかな?

    ちょっと面白いのが$199のPowerCal computerなる心拍センサーで、これは心拍数をベースにした「なんちゃって」パワーメーターとして動作するらしい。あらかじめ心拍数と出力値の関連付け(ある種のキャリブレーション)をUSBのAnt+スティック経由で行っておく必要があるとのこと。もちろん信号はAnt+対応で、10月リリース予定。

    当然ながら、短時間高強度の出力や暑さ・体調による誤差については目をつぶる必要があるわけで、いわゆる「パワーメーター」とは毛色の違った製品と考えたほうがよさそう。MINOURAのパワーマスターみたいな感じかな。一定時間以上のライドデータを総合的に見れば、そこそこ正確な値が期待できるような気もするので、そのレベルのデータが取れればいいやという人はこれで十分なのかも(?)。

  • Power2Max
  • 新興勢力のドイツ製パワーメーター。SRMやCinQoと同じようにクランクのスパイダーアームで計測するタイプ。安いのが特徴。様々なクランクとの組み合わせで売ってる。でも日本では電波法に引っ掛かってしまうってことで送ってくれないらしい。数少ないレビュー記事を読む限りだと、

    1. 加速度センサーを使ってるのでCinQoのようなマグネットは不要
    2. ペダルを2秒以上止めると自動的にAuto-Zeroがかかる
    3. ユーザーの手元でのスロープ調整は不可

    とかそんな感じらしい。
    通常はギア板はついてない状態での販売なので、どのくらいの精度が期待できるのかしらねぇというところ。上のレビューを読む限りだと、そこそこ安定した値は取れているみたい。

**

さらに、今後マーケットに出てきそうなパワーメーターを並べてみると・・・

  • Garmin Vector
  • Garminに買収されたVectorは今年の秋くらいにInterbikeでリリースされるとの。結局Speedplayベースのペダルとして出るみたい?MetriGear時代の雰囲気だと「製品化までもう少し」という感じだったけど、やはり製品レベルに仕上げるのは大変なのだろうなという感じ。値段は$1,500前後とのことだけど、ちょっと高いんでないのかね。

  • Polar/LOOK
  • PolarとLOOKが組んで出すペダル式パワーメーター。2011年の秋くらいに出るという話で、値段は1,500-1,800 Euros(コンピューター除く)くらいとのこと。これまた高い。CS600X, CS600 or CS500といった既存のコンピューターとPolar独自のW.I.N.Dでおしゃべりするらしい。今時のパワーメーターで唯一Ant+に対応しない製品になりそう。

  • Pioneer
  • 昨年のサイクルモードで展示されてたパワーメーター。まだ開発の初期段階のようで、製品化への道のりははじまったばかり(?)。クランクに張り付けた歪みゲージで出力を測定する方式で、左右独立の送信機をもつとのこと。Android採用のコンピューターも開発中で、独自プロトコルでぺダリング時のロスなんかも計測して表示してくれるみたい。

**

P1030898

・・・とかそんな感じで、今年の後半あたりからパワーメーターの選択肢が一気に増えそうな気配。カンパやシマノといったあたりも独自にパワーメーターを準備してくるのではないかという話があるので、2,3年後には今とは全く違った市場になっている可能性もありそう。

不完全な情報をもとにこの辺の情報をまとめてみると、こんな感じ。
状況が変わり次第、ちょこちょこ更新予定。

今そこにある機器」への2件のフィードバック

  1. CinqoはSRAMに買収ですか。。ちょっと気になるのですが、7900のチェーンリング、7800比で2ミリ程度インナーとアウターの間隔が違うそうなんですね。そうすると、そのCinqo+SRAMクランクは、シマノ7900とは実質混ぜて使えないのではないかと。。。どうなんでしょう?

    個人的にはPioneer欲しいですね。カロッツエリアのナビもサイコンにいれてくれないかな?

  2. > ヤマさん
    たしかに、7800と7900は違うらしいですが・・・
    7900との組み合わせでなんら問題なく使えているので、大丈夫っぽいです。
    電Duraとの組み合わせも問題ないと聞いてます。

    Pioneerには期待したいですが、パワーメーターという(現状)ニッチなマーケットを
    どう攻略してくるのか・・・。その出方がいろんな意味で興味深いです。

コメントは停止中です。