トレーニングについて考える(1):エネルギーソース
自転車競技のトレーニングについて考えてみるシリーズその1。
別名「自分の理解を広めるためにまとめていたメモを整理して、記事に仕立て上げてみよう」シリーズ。素人っぽさ丸出しの記事なので、読みにくくてまとまっていませんが、そのあたりはご容赦ください。また、間違いなどあればご指摘いただけると嬉しいです。
・・・ってなわけで、第一回のお題は"エネルギーソース"。
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人が運動するためには筋肉の収縮が必要。
筋肉を伸縮するための直接的な動力源はATP(Adenosine Tri-Phosphate(アデノシン三リン酸))という物質で、これは筋繊維の中で炭水化物等のエネルギー源から変換される。ATPはクリーンなエネルギーソースで、筋繊維のための収縮運動と熱として放出される(比率は50:50くらい)。それぞれの筋繊維には、フルパワーでもがいた時の2-5秒分の「すぐ使えるエネルギー」としてATPが蓄えられている。
ATPへの変換に酸素を必要としないPCr(Phosphocreatine(クレアチンリン酸))も筋繊維内で生成され、フルパワーでもがいた時の約10秒分がそれぞれの筋繊維に蓄えられている。
以上、二つのエネルギーソースが「すぐに使えるエネルギー」。これだけだとごく短時間の運動しかできないので、持続的な運動を行うためには以下のエネルギーソースに頼る必要がある。
- 炭水化物
比較的使いやすくて、そこそこ長時間使えるのが特徴。
エネルギーソースとしての炭水化物は単純なブドウ糖で、グリコーゲンという形で体内(筋繊維と肝臓)に蓄えられている。ブドウ糖のATPへの変換は筋繊維内で行われ、酸素を使う好気的代謝(低負荷、長時間向け)と、酸素を使わない嫌気的代謝(高負荷、短時間向け)の2パターンに分かれる。
好気的代謝はエネルギー効率がよく、約50%がブドウ糖からATPにエネルギーソースとして変換される(残りの50%は熱として放出される。ATP->筋収縮の効率とあわせて、全体的な効率は25%)のに対し、嫌気的代謝はエネルギー効率が非常に悪く、ブドウ糖->ATPの変換効率が7%程度で、食べカスのエネルギーを乳酸として放出する。
体内には1,500-2,000kcal程度のグリコーゲンが貯蔵されていて、これらを利用することで60-90分程度の比較的高い強度の運動を持続することができる。
- 脂肪
一番使いにくいけど、一番たくさん蓄えられているのが特徴。
ある程度貯蔵用と割り切って蓄えられているので、重量あたりのエネルギー量は炭水化物の倍。一般的に、50,000-200,000kcal程度あるらしいので、まさに桁違いのエネルギソースということができる。
ただし、エネルギーソースとして利用するためには、炭水化物と比べてより多くの酸素を必要とするため、高強度の運動では炭水化物が優先的に使われてしまう。
・・・と、以上が人の体に蓄えられているエネルギソース。
休んでるとき、歩いてるとき、走ってるとき、ダッシュした時・・・と、様々な状況に対応できるよう、それぞれのシチュエーションに最適化されたエネルギソースと燃え方が準備されていることがよく分かりますね。
エネルギーの利用効率に関して、大きな転換点といえるのが炭水化物の好気的代謝と嫌気的代謝。前者が約25%の効率で熱しか出さずに燃えるシステムなのに対し、後者がエネルギー効率たったの3.5%でしかも燃えカスまで出してしまう・・・。これって、冷静に考えるとものすごく大きな違いです。
エンデュランススポーツでは、いかにエネルギー効率のよい身体を作り上げることが大事かということが伺い知れるのではないかと思います。
次回は、筋肉についてまとめる予定。
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なお、メモをまとめるにあたり、以下の資料を参考にしています。
興味のある人は、どうぞ手にとってみてくださいませ(アマゾンアソシエイトを使ってます)。
- Base Building for Cyclists: A New Foundation for Endurance and Perfomance
- Bicycling Science
- エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング