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Tomorrow We Ride

1953-55年に初のツール3連覇を達成したフランス人チャンピオン、ルイゾン・ボベの弟で、彼自身も優れたサイクリストであったジャン・ボベの本。敬愛する兄であるルイゾン・ボベと一緒にサドルの上で過ごした日々のことを主に綴っている。

去年木祖村2daysで勝ったリー・ロジャースさんのおきなわ参戦記にこの本の引用があったので入手してみて、その流れでルイゾン・ボベの「自転車チャンピオン」を読みはじめたらそっちのほうを先に読み終えてしまい、ようやくこっちも読了。

大学で英文学を学び、引退後はジャーナリストとしても活躍したジャン・ボベの文章は中身が濃くて、自転車活動以外のことについての記述もウィットに富んでいて面白い。タイトルの"Tomorrow We Ride"("Demain, on roule...")とは、引退後に「昔と同じように走ろうぜ」という兄からの呼びかけなのだけど、勝ち気で子供みたいな性格の兄と、インテリで兄思いの弟という関係がよく分かる言葉。肩を寄せ合って一緒に走っている本の表紙の写真にも現れている通り、(特に引退後は)色々あったとはいえ仲のよい兄弟だったのだろう。

もちろん、本で扱われているのは美しい物語ばかりではなくて、「自転車競技の黄金時代」とされる50年代のレースシーンの影にあった八百長やドーピングに関しても多くのページ数が割かれている。(多分に実験的な利用だったみたいだけど)ジャン・ボベ自身もキャリアの最後にアンフェタミンを服用してレースに参加したことを告白していて、ドーピング問題の扱われ方が今と昔で違うことにも気づかされる。

リー・ロジャースさんが引用している箇所は、P.113の自転車競技がいかに彼にとって楽しいものであるかを描いている部分。

“…繊細で、奥深く、刹那的。到達すると、自分を捕まえ、抱き上げ、そして再び放り出す。自分ひとりのためだ。スピードと緩和、力と優美さのコンビネーション。純粋な喜びなのだ。”

原文は

"...delicate, intimate and ephemeral. It arrives, it takes hold of you, sweeps you up and then leaves you again. It is for you alone. It is a combination of speed and ease, force and grace. It is pure happiness."

**

Jean Bobetさんは未だに健在で、Roullerのvol.12でJean Bobetのインタビューがあったみたいなのだけど、売り切れていたので入手できず・・・。
無念。


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2010年04月13日 09:08に投稿されたエントリーのページです。

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