ロードレースが出てくる映画を見てみようシリーズ、その3。
邦題は「マイヨ・ジョーヌへの挑戦」。
2003年のツールを戦うT-Mobileチームを追いかけつつ、ツール・ド・フランスというレースの美しさや過酷さ、それに素晴らしさを存分に見せてくれる映画。
選手としてのピークを越えつつも、しぶとくステージでの勝利を狙い続けるエリック・ザベルが狂言回し役。変な髪形、弱気な発言、ここぞというところで落車に巻き込まれる運のなさ・・・これらすべてが組み合わさって、実にいい味を出している。彼とその友人でありアシスト役でもあるロルフ・アルダークの信頼関係や、監督、メカニックの声を通じて、ツールへの想いが語られ、迫力あるレースシーンが展開していく。
作品の中で繰り返し語られるのは、「ツールを走るということがいかに超人的なものであるか」そして「いかにツールが多くの人を魅了してきたか」ということ。自転車が吹っ飛び、サポートカーのスキール音が響く。クラシックからジャズまで様々なジャンルを織り交ぜたBGMも秀逸で、美しいアルプスの山々をバックにかっとんで行く選手達の映像を見ているだけでも「あー、ロードレースって素晴らしいですね」という気分に浸れる。
2004年のCSCチームを追ったOVERCOMINGと似たようなポジションの作品だけど、OVERCOMINGが様々なシーンを断片的に繋いだ構成になっているのに対し、HELL ON WHEELSはツールがはじまって終わるまでの流れがしっかりしていて、説明的なナレーションも多いのでOVERCOMINGよりも敷居が低いように思う。
作品の方向性が違うので何ともいえないけど、個人的にはHELL ON WHEELSのほうが楽しめた。