02/11-02/12 - 小金沢連峰

春山と冬山


姉夫婦が日本に来て(うちに居候して)いたので、週末は山に行くことにした。去年の3月から会社を休んで、1年間南米やオセアニアを旅行して、最後の2,3週間を日本とタイで過ごすつもりできたらしい。

アイゼンやスパッツ、それにピッケルを持っていなかったので(1年の旅行に持ってきていたら逆にビビるが)、軽アイゼンさえ借りればなんとかなりそうなレベルの山で、かつ富士山がきれいに見える山・・・、ということで大菩薩嶺にした。
実は、今年の1月の山行計画にこの大菩薩嶺から南に抜ける小金沢連峰の縦走を考えていたのだけれど、諸々の事情によってキャンセルになっていたため、自分にとっても都合のよい計画となった。

2/11

土曜日は裂石から入山。上日川峠までタクシーで入れることを少しだけ期待していたものの、ゲートが閉じていたので1時間半の登りを歩く。
今日はピカピカの晴天で、気温も高いので全く冬山に来た感じがしない。
上日川峠を越えてからしばらくすると、目の前に巨大な富士山の姿が飛び込んでくる。目の前の山々を包み込みこんで、空と一体になっているように感じられた。

福ちゃん荘を越えてからの雷岩への登りはなかなか苦しい。
前半は雪が溶けてドロドロになった急登、そして後半は所々凍結した雪の急登なので、ペースを落としてのんびり登っていく。
雷岩のあたりは風もなく、富士山を眺めながらお湯を沸かして紅茶を作り、ゆったりとした時間を過ごす。
空身で大菩薩嶺を往復してから大菩薩峠を目指して歩く。今度はほとんどが下りなので、何の苦もなく今晩の宿泊である介山荘に到着した。

大菩薩峠にポツリと建つ介山荘は、この季節は土曜日のみの営業であるにも関わらず、沢山の人で賑わっていた。元気溌剌でサービス精神旺盛な若いオーナーの人柄と、アプローチのよさ、そして日の出日の入りの美しさに惹かれて多くの常連客が訪れるらしい。
はじめに通された部屋は休憩室で、そこにザックを置いてお茶をいただく。夕食の5:30頃になると、そこで食事になる。カレーと聞いて「山小屋風だなぁ〜」と思ったのだけれど、驚くべきことに、もう一つのお皿に盛られたあれやこれやはほとんど自家製らしい。
サービスのワインを飲みながらカレーを食べて、7時過ぎ頃に案内された寝室(?)の布団に潜り込んで、そのまま眠りについた。

2/12

さすがに早く寝すぎたので3時、4時頃からチロチロと目が覚める。まどろみながら5:30にさしかかった頃に突然電気がついて完全に目が覚めた。どうやら食事を何時に頼もうと起床は同じらしい。

朝ご飯は「山小屋の朝食・スペシャル」という感じ。鮎の甘露煮から梅干しまで、どれも美味しい。ご飯をおかわりしてから日の出をちょこっと見て、7時前に小屋を後にする。
小屋の裏手にある小ピークを登り切ると、早速南側に展望が開けて富士山が見える。昨日はバッチリだった天気も今日はご機嫌ななめで、富士山にも少し雲がかかっている。
今年は太平洋側の雪が少ないものの寒さは本当に厳しいらしく、今朝の6:00時点の気温は約-10度。先週の同じ時間には-17度にもなっていたらしい。

小金沢連峰の縦走路の大半は、南斜面と平らになった部分に広がるクマザサの群落の下りと、北斜面に生い茂る原生林の登りだ。
「木が生い茂っている中のスノーハイクは初めて」という姉の夫。
今朝は全員朝からアイゼン着用なので、雪のある道も全く苦にせずテケテケと歩く。南斜面ではところどころカチコチに凍っていて恐ろしいところもあるが、軽アイゼンは山歩きに慣れた姉の夫に使って貰い、問題なく下っていくことができた。

前回の積雪以降に通った2人分のトレースがあるのと、樹林帯ではそれ以前の分のトレースが沢山あったので、心配していたルートファインディングは全く困らずに済んだ。
それでも、小屋のオーナーに聞くと「全然入ってない」というくらいマイナーな縦走路で、食事で隣に座っていた小屋の常連の女性(途中で追い抜いた)を除けば今日の行動中は一切他の人に会うことがなかった。

小金沢山はこの縦走の中で一番のピークで、ここだけはそれなりに「登った」という気分にさせられる急登がある。それ以降の牛奥ノ雁ヶ腹摺山や黒岳は、なだらかな稜線を歩いていくといつの間にか到着する感じ。黒岳山頂は風が強く、お昼ごはんに・・・とお茶を湧かしたもののその間に体が冷えてしまい、リーダーの判断ミスの痛さを痛感した。
小谷丸からの下りは深くえぐれている上に、ほとんどの場所がカチコチに凍っているせいでやたらと歩きにくい。

苦労して湯ノ沢峠に到着。携帯電話で湯ノ沢峠の登山口までタクシーに来てもらうことにしていたのだけれど、寒さで携帯が使えなくて焦った。カイロで温めて少ししてから電話が通じた!と思ったら、なんと今はゲートが閉まっていて迎えに来れないとのこと・・・。無念さ一杯の気分で、林道よりも近道になる、という沢沿いの道をトコトコと下っていくことにする。

林道との合流地点からは車道をテケテケと歩いていくのだけれど、プラスチックブーツでそれなりに角度のある車道を延々と下っていくのは本当に辛い。
昔林業を営んでいたであろう人たちが住んでいたと思われる廃屋をいくつか越えて、にっくきゲートを越え、さらにしばらく歩いてようやく「やまと天目山温泉」に到着。
やまと天目山温泉は一風変わった水質の温泉で、一瞬肌がぬめぬめしたような感じがする。「東京や横浜なんかからも、わざわざ訪れる人もいるんだぜ」と浴槽で隣に座った地元の人が教えてくれた。

お湯から上がり、一律100円のバスを待つ間にビールを飲みながらヤマメの塩焼きを楽しむ。
ちょっとスイス・アルプスを意識したのかな?という奇抜なデザインのバスで甲斐大和まで行き、そこから各駅停車で大月まで行ってUさんと別れ、かいじに乗って東京に帰った。

一日目はポカポカと陽気な天気の大菩薩を満喫でき、二日目はパリッと冷え込んだ雪山を楽しむことができる充実山行だった。